左翼のアメリカ

HelloTaro2012-01-16

葉山の美術館で、ベン・シャーンの展示を観た。アメリカの左翼の時代というものが、1940-50年代以前は確実にあって、実は本格的なレッドパージ以前、日本が占領されたアメリカは左翼のアメリカでもあって、ベン・シャーンの絵画や写真には、そういう時代の匂いも残されており、この喪失感ともノスタルジアとも言い難い感覚の想起に、居場所のない心地悪さと同時に、いまさらシャーンかよと、思う自分自身に、なにやら涙腺を刺激するものも。第五福竜丸にちなんだ放射線に犯され死んだ漁師の絵画を20数年振りに観たが、この作品の所有者が福島県立美術館というのも因果鉄道の旅の結果であり、クロスメディアアーティストとしてのベン・シャーンという焦点の確かさもあって、言葉を選んでみても、この時代の日本に必然性のある展示といえて、とてもよかったと思った個人的に。現在の親米保守は結果的にただの売国奴になっているが、かつて良心があったということを思い出せたかも? しれないという意味でも。