なんでこんなに好きなんだ?

HelloTaro2005-07-25

「どくしょのすきなかたは、一人いっさつただでもっていってください」
先日、地方の駅前食堂的なホルモン焼肉店に入った際、ミカン箱ほどの段ボールに古書が投げ入れてあるコーナーがあった。
気合いをいれずに物色。予想どおり、赤川次郎宮部みゆきアガサ・クリスティ林真理子の古い文庫本や新書ばかり。
と、おもった瞬間、しばらく探していた岩波書店同時代ライブラリー版のル=グウィン作「影との戦い ゲド戦記」(清水美砂・訳)を発見。
古本屋で学んだ「希少本を発見しても、あせらずにシラを切る」作戦で、あわてずすかざず「ただでもっていって」みました。
この文庫サイズのゲド戦記、たしか4冊買ったが、いずれも誰かに貸したまま帰ってこなかった。最近は絶版&品薄でなかなか見つからない。カバー欠だがうれしい。
恥ずかしながら、英語がヘタクソ&デタラメな自分にとって、原書の「A Wizard of Earthsea」Ursula le Guinは、初めて読み切ったペーパーバック。
翻訳以上に目の細かい言葉使いと、物語の密度と重圧に圧倒され、読了後、しばらくまともな文章を書くことができなかった破壊力がある。
というか「ゲド戦記(&カスタネダ)の話題が出来る」というだけの理由で女性に恋をした時もあった。アホだ。
というか、この本を読み切った後、外国人とのコミュニケーションが普通に取れるようになった、という意味において、私的な「魔法の本」でもある。
さきほど約5年ぶりに読み直して、かつて理解できなかったディティールを数カ所発見。
泣ける。

こんだけ繰り返して読んでも面白い物語は、ミラン・クンデラの「存在の耐えられない軽さ」ぐらい。不思議。