あつもの

なんとなく公開時に見逃してからチャンスがなく、近所のビデオレンタル店にも置いていないためまだ観ていない映画に「あつもの」という作品がある。
これは作家・中山義秀氏の芥川賞受賞作「厚物咲」という小説を題材に1999年に撮影された映画で、ぷっくらとした「あつもの」の大輪のキクを咲かせる技術を持った老人の元に、品評会などでキク園芸のライバル関係にある老人が、若い女子大生の売春婦を送り、キクの栽培技術を盗ませるというお話。
なんとなくキクの栽培というテーマには、たとえば金魚でランチュウなどの奇形魚を育てる技術にも似て、精緻でインビでイビツに、奇形の生命を小宇宙の中に無理矢理閉じこめて小さな怪物を作り上げるような部分があって、エロくて楽しい。