大観展など

HelloTaro2007-02-10

半年ぶりに台湾を再訪。
今回の旅は仕事ではなく、遊び(喜)。
メインの目的は台北故宮で開催している大観‐北宋書画特展。会期前期(~2月7日)出品の中国山水画の最高峰、范寛「谿山行旅図」(1000年ごろ)、郭煕「早春図」(1072年)、李唐「万壑松風図」(1124年)が、先駆者である董元「渓岸図」と並ぶという、素晴らしすぎる展示にGO!!
1000年の時を経て神品と呼ばれるだけあって、范寛「谿山行旅」は素晴らしい。遠くからみても迫力あるし、近寄ってルーペ(一眼鏡)で細部を拡大しても細密絵のように、墨の濃淡や乾湿を使い分けながら、ひたすら細かく描き込まれている。そして郭煕「早春」のサイケデリックな空間の歪みにトバされ、まるでスタジオ・ジブリのアニメに出てくる生き物のように歩み出そうとしている李唐「万壑松風」の松の木の描写にドッカーンとブットびまくり。優れた山水画は、認識のスケールを拡大させたり縮小させたりする、フラクタルな脳内トリップ観光ツールなんだってことを再認識したワン。
ほかに趙幹の「江行初雪図」とか徽宗や黄居簳の花鳥細密画など、時間泥棒的にいつまでも観ていたい逸品ぞろい。気がつくと、水墨画と墨跡だけで4時間以上眺めてしまいフラフラ。常設展示は次回に後回しにして、篆刻の企画展と、同じく大観展の北宋図書に汝窯青磁が30個以上並ぶ狂気じみた特別展示を飲み込むだけでおなかいっぱい閉館時間。
ま、政治の話は別にして、ね。やっぱ極端に美しいものは素晴らしい。2010年には、ぐっと南の嘉義県太保に故宮南院・・・故宮を中国皇帝のシンボル宝物庫としての文脈からではなく、台湾という地理的環境を含めたアジア美術としての文脈で読み替えた展示を予定している施設・・・も開館するということで、台湾からは目が離せないなぁ。なんといっても食べ物がうまいし。今度はプライベートで温泉と台湾原住民の長老の方々との出会いの旅をしたいと思います。

范寛「谿山行旅図」
http://www.npm.gov.tw/exh95/grandview/painting/t1_3_b11_jp.htm
郭煕「早春図」
http://www.npm.gov.tw/exh95/grandview/painting/t1_3_b15_jp.htm
李唐「万壑松風図」
http://www.npm.gov.tw/exh95/grandview/painting/t3_1_b22_jp.htm

国立故宮博物館HP
http://www.npm.gov.tw/