いのちの食事

 高校時代、辰巳浜子「料理歳事記」を、チャペックの「園芸家12カ月」と一緒に何度も読み返した。最初に自炊する事になった時、その本を文字通り教科書として料理を勉強、好奇心と節約のためベルギーの修道院のレシピだというリンゴジャムまで作った。先日、別冊太陽「辰巳芳子の家庭料理の世界」を買い、すごい長生きだと思っていた辰巳先生は、実は母娘二代の料理研究家だということを知る(無知です)。その食に関する正直な世界観、そして先のリンゴジャムを筆頭とするレシピも親子間で受け継がれているが、母・辰巳法子さんの表現が名も無き主婦の提案といった趣だとすると、娘・辰巳芳子さんの表現は合理的な主張と戦略がある。これは食に関して、飢餓とは違う意味での危機的状況となっている現代を反映している。辰巳芳子の最新刊「いのちの食事」は小さな本であり、まえがき曰く「急場しのぎの間をまぬがれがたい」。しかし現代の食に関するキーワードマップとして、警鐘として、受け取る「何かもやもやした不安」を持つものに、決して小さくはない「共鳴音」を響かせる力がある。日本の将来のため、本当に正しい食生活について真剣に考えなければ!! 
 と、最近は三食コンビニ弁当どころか、仕事しながら流し込むインスタントラーメン&スナック、ビタミン剤、深夜のビール、頭痛薬をディナーとすることもある俺は思う。思ってはいるけど、、、。

「料理歳事記」辰巳浜子ISBN:4122040930
「辰巳芳子の家庭料理の世界」ISBN:4582943810
「いのちの食事」辰巳芳子ISBN:4838715293
「園芸家12カ月」カレル チャペックISBN:412202563X