ワサワサ

台風とお祭りは似ている。
小学生の頃、大型台風が直撃した翌日の朝、街路樹が折れ駐車場の屋根が吹っ飛びバラック建築の倉庫が倒れている風景に、なんだか性的な興奮にも似たトキメキを覚えた。
ローティーンからハイティーンにかけて、台風の豪雨の中、むやみにずぶぬれになって歩き回ることが好きだった。
もう20年近く昔に眺めたんで細部は忘れてしまったが、相米慎二監督の「台風クラブ」は、その「台風がもたらす、なんだかよくわからない非日常感覚」にワサワサする少年少女のキモチを描いた秀作だった記憶がある。
今朝、すこし会社への出勤時間を早めて、カメラをもって近所をぶらぶらした。
クリスタルのように透明度の高い光線が、ほんとうに愛おしいほど美しく、このまま仕事をサボタージュして何時間も撮影していたいような狂気に似た衝動がうずいたが、ぱちんと潰し、地下鉄に乗る。

ワサワサ。