まぶた

まぶたを開けると、目的地を忘れてしまったが、まだ旅は続いていて、私はどうしたらいいのか、白昼の光の限定された世界の中に身を隠す場所を探して、迷い続けているようだ。
ポケットの中には住民税の滞納金を請求する紙片。そんなもの捨てちまいな。と、ささやく暗闇の奥から盲目の自分が、耳の穴の奥の洞穴でなにかブツブツつぶやいている。たぶんまた下手くそなRapの練習でもしているだろう。
お願い。お願いだから、もうすこし声のボリュームを小さくしてくれないか?