Hurtbreak Wonderland

 World’s End Girlfriendの新作「Hurtbreak Wonderland」は、ケガや痛みが治癒していくプロセスの内的な心理の物語を壮大なスケールで描写したような、光と希望に満ちた愛すべき佳作。よくAphex Twinと比較されることが多いが、むしろMonoとのコラボレーションを含む近作は、なんでもミックスしてしまうここ数年のCosmic系なDJ文化系美意識と同時代的にリンクしたプログレッシブ・ロックを彷彿させる印象も。King Crimsonで言えば4作目の「Islands」的な、甘美でセンチメンタルなメロディーを中心に「Larks' Tongues in Aspic」的な攻撃性が適度にミックス。何度も繰り返して聞き込む魅力に富む。フレーズやリズムの細部に過去の作品に似た反復も使われているが、これは作者の中に流れている音楽を取り出すときの、手癖や手法とでもいうべきものによるのだろう。でも、この5〜6年間、World’s End Girlfriendは世界のトップにいけるという確信が自分にはあるので、更にどんどん高みに登って欲しいと思っていますよずっと。比較的ポップな音色なので、初めての方にもおすすめ。