よこたわる
マダガスカルの首都、アンタナリブから南の山岳地方をドライブしている最中、なぜか目についたのは、大地や地面によこたわっている人々。
少年少女やおじさん、おばさん。乗り合い自動車(タクシィ・ブルス)を待ちながら、トマトやニンジン、焼トウモロコシ、果実などの農作物やアヒル、ニワトリなどの家禽、空き缶で作った飛行機や自動車などの玩具などを路上販売しながら、あるいはなにをするわけでもなく、路肩の草むらなどによこたわっている。さすがに適齢期の若い女性はいながったが、かなり普通に見受けられた。
いきている人が、大地によこたわる
人のいきは草いきれと、ジャリにまみれて
いきている人が、大地と会話する
まるで恋人達がささやきでおもいを交差するように
死者がとこしえの安らぎに安堵したため息のように
いきながら、土のうえに、やわらかな湿度をかんじながら
いきている人が、大地によこたわる
突然、突風が吹き、15m先の道路も見えなくなるような豪雨に包まれた直後、いきなり青空があらわれ、差すような太陽光線が照りつける、雨期の大地に、よこたわる人々。
マダガスカルの最初の強い印象は、米を添えた地ウサギやザリガニの煮込み料理ではなく、赤い大地に広がる水田でもなく、まず完全に受動的な彼らの姿をとって現れた。
写真は2000Ariary紙幣。棚田の水田風景と、赤土を焼いて作った煉瓦作りの農家が国の象徴的な図像になっている。