Rainy Day Woman #12 & 35
まるで雲の中を進んでいるようだ。往路と同じ、あるいは降りしきる雨のため、もっと厳しい状況の帰り道。自分はどこにいるのだろう。まるで白い闇の中をさまよっているようだ。
視界を失い、日常から切り離された意識は、脈絡のない心をあそばせながら、霧に灰色に染まる景色を眺め続ける。
うまれつき
神話を失っている
私たち
雨は生理現象として
無慈悲に降り注ぐ
天のおしっこ
ふきだまり
雲の中を通り抜け
おおきなものの
ふところに抱かれているとも知らず
おびえ
醒め
眠る
雨の中
からだ
冷える
物語を
濡らして
無休で約8時間のドライブ後、首都のホテルに戻り、屋根の上に積んであったトランクを開けると、中の衣類は全て濡れていた。口をきくのもおっくうな程、疲れていた。
(この項続く)