ナス

そういえば、先日、農家の片隅をかりて畑を耕している母から、自家製だというナスをもらった。
「へー、ナス食べれるようになったんだ」
「や、嫌い。でも食べる人もいるでしょ」
「え〜、なんで自分が嫌いなものを作るの?」
母は笑って答えなかった。
よくよく考えると、家族の中でナスが好きなのは、自分だけなのだった。
がさがさと、固く身の締まった、けっして綺麗ではないナス。中華風に炒めて食べると、野草のようにコリコリと固くて筋ばって、奇妙に滋味深いあじがした。