千羽鶴

川端康成の長編小説の中で「千羽鶴」がいちばんすき。
作者が書き上げた原稿メモをいれた鞄を盗難で失い、続きを執筆するヤル気がなくなったという理由で未完成のまま放置されたというエピソードで締められる、ちょっとノロわれた作品。
すぐに手元に見つからないので、チョットだけウロ覚えなのだが、自分の縁談話をきっかけに出会った、亡き父の愛人であった年上の某夫人を、なりゆきで×××してしまう息子が主人公。某夫人はその行為への後悔と葛藤から、神経を病んで自ら命を絶ってしまう。
ここに出てくる志野茶碗が、ブツとしてちょっとヤバイ。某夫人が、毎日、同じ部分を口にあてていたため、一カ所、縁が紅で薄く染まった、情念と諦念のしみついた、遺品。これはちょっとゾッとします。エロイ。