スダジイ

あれ、ちょっとまてよ。と思ったのは、ホップの実のような、ピスタチオぐらいの大きさのドングリが、通勤の途中の山道に落ちていたとき。
どこかで見た記憶が、、、。と思いながら、今日まで約1ヶ月。あれはもしかしたら食えるドングリでは? と気がついた時にはもう遅し。
日本のドングリの中で、最も美味なものの一つといわれるスダジイを拾いにいくと、既にムシさんと鳥さんとリスさんがすべて食い尽くし、殻しか残っていなかった。
ムムム。それではもしかしてもしかして。我が家の敷地にあるあのシイの実は?
あわてて家の裏に赴き、ドングリをズボンのポケットにはいるだけ、20〜30個ばかし拾い集める。
ニンニクを潰す要領で、包丁の腹で1個潰し、真っ白な果肉をかじると、若いサトウキビのような甘み。
あ、ラッキー。これはマテバシイではないか。
ボウルに水を張り、拾ったドングリをいれて浮いてきたものを捨て、試しにフライパンでから煎りしてみる。

弱火で5分ほど煎ると、2/3ぐらいが自然に割れたので、ギンナンの要領で塩をさっとまぶし、食べてみる。

ムムム、生のほうが甘みが強いし、食感は正直、コリコリボソボソと堅いが、独特のほっこりとした甘みがあって、食える。というか、うまい。
調子にのって仕事しながら20個ほど食べると、喉の奥がざわざわイガイガしてきた。
やはり、そのまま食べれるとはいえ、タンニンを含んでいるらしく、渋い。
水溶性のタンニンならば、縄文人よろしく水で流せばよいと思い、中身を割ってボウルに入れ流水でさらす。
ついでにまたズボンのポケットいっぱい分拾って、増量。米と一緒に炊いて、ドングリご飯にする。
うーん。これは。山栗をさらにシャープにしたような繊細な甘みに、ほくほくと滋味豊かな食感で、かなり美味しい。普通にごちそうとして、お客様に出しても大丈夫な味。
そういえば先日、近所の民俗資料館にいったら、自分が住んでいるあたりの畑から、縄文時代中期〜後期の土器の破片がたくさん出てきたという記述や考古資料の展示もあったしね。魚や貝や海草をつまみに、ドングリを食らって、いいじゃないですか。ジョーモンジン。
という訳で、なんとも30年ぐらい前、小学3年生の頃からの懸案事項が、今日、一つ解決した。
どうやら寒さを嫌うというマテバシイスダジイですが、関東地方でも黒潮の暖流がぶつかる、千葉や三浦半島などでも群生しているらしい。もっと北の方でも、ぽつぽつ自生しているそうだ。まったく、知らなかったよ。
無知は悲しい。そして長生きするといいことあるね。ピース。