フランソワーズ・サガン追悼

 2004年9月24日、フランスの女流作家フランソワーズ・サガン氏が心肺機能不全で亡くなった。
 中高生の頃、近所の古本屋の5冊100円コーナーで簡単に入手できたため、ワインレッドの背表紙にビュッフェの油彩のカバーの新潮文庫を意味無く全タイトル読破した。処女作「悲しみよこんにちは」以外、ストーリーを覚えているものはほとんどない。しかし、自分の頭の中にはサガン的宇宙がある。人々はその宇宙と惑星の中で愛し合ったりスポーツカーに乗ったりシャンパンを飲んだり城を買ったり破産したり贅沢したり絶望したりしている。しかし、現在の自分とあまりにも接点が無いので、この10年間は思い出すこともなかった。
 一冊だけ例外があり、「愛と同じくらい孤独」というインタビュー集(というか、複数の雑誌に掲載された記事を集め擬似的なインタビューとしてRemixした本)は、女性におすすめの本を聞かれた時に、何度かプレゼントした。真実を告白しながら隠す、セレブな女流小説家の青春に関する洗練されたカミングアウト、という意味でのクラシックな名書。asin:4102118152
 あの世でのご活躍とご冥福を祈ります。