ほとんど忘れている

HelloTaro2004-11-30


 どうでもいいけど忘れていること。
 子供のころ、なぜか路上に落ちているイヌのウンコに執着したこと。勇気ある子供の証明として、どこでも立ちショウベンした事。特に集団で立ちショウベンしている最中に、女子がキャッキャっと騒ぐ声を聞きながら「悔しかったらやってみろ」と叫んだこと。一人っきりでの立ちショウベンの途中、近所のおばさんに見つかって怒られながらオシッコが止まらずに情けなかったこと。近所の児童公園のゴミ箱の中に未修整のビニール本を見つけて、みんなで触らないように木の枝で開いて眺めた後、隣の家の二階ベランダに投げ捨てたこと。第二次性徴よりも前の性的な感覚を、秘密の暗号「おしっこむずむず」と呼んでいたこと。夕暮れ時、玄関の脇に黒い闇のようなオバケが現れるので、そこを通る時はいつも目をつぶって走ったこと。昼間、オバケのいる場所をさがすと、ベンジョコウロギとダンゴムシが数匹いるだけで、なにも無かった事。雑木林に放置してある古井戸のコンクリート製のふたを数人がかりで外すと、中から数千匹のベンジョコウロギがワサワサ現れて、死にそうに驚いたこと。竹藪の日だまりに座っていたら、なんだか眠ってしまい、突然、農家のおじいさんに怒鳴られて目をさましたこと。寝る前にまぶたの上をぐりぐりすると、雪の結晶のような、針葉樹のような形の緑色の発光する光がグルグルダンスを踊りながら降ってきて、数分間光の中を散歩できたこと。上手にウソをついて大人をだまして楽しかったこと。下手にウソをついてばれたて怒られたこと。本当のことを言っているのに、なにを言ってもウソだと決めつけられて死にそうな気分になったこと。どうでもいいけど、ほとんど忘れている。いつか、全部を思い出すことがあるのだろうか? もっと、思い出せるだろうか? というか、このまま忘れていた方がよいのだろうか?
 画像はオランダの画家Willem de KooningのWomanシリーズより。10年ぐらい前にどっかの航空会社の機内誌を切り抜いて、本棚に貼ってあった。もうボロボロ。いい感じに風化して、くたびれている。